主な診療内容

腹痛ABDOMINAL PAIN

以下の疾患がよく来院されます。当院で診断可能な病気です。

  • 感染性腸炎

    頻度:★★★★★


    ウイルスや細菌が腸管に感染することが原因となり、腹痛とともに下痢を起こすのが主な症状です。発熱や嘔吐、さらに血便などの症状を認めることもあります。
    いわゆる食中毒も感染性腸炎の一種です。

    血液検査・便培養・腹部エコーなどが役立ちます。

  • 虫垂炎

    頻度:★★


    典型例ではみぞおちからへそにかけての痛みから始まり、数時間を経て右下腹部へと痛みが限られてきます。腹痛に伴い下痢や嘔吐が起こることは稀です。
    適切に診断・治療を行わないと消化管穿孔や腹膜炎をきたし重症化することがあるため早期に受診することが重要です。

    血液検査・腹部エコーなどが役立ちます。

  • 大腸憩室炎

    頻度:★★★


    大腸憩室炎とは、大腸の憩室とよばれる部分に細菌感染が起こり、腹痛や発熱といった症状が現れることを指します。内科的治療で改善することが多いですが、消化管穿孔や腹膜炎をきたし手術が必要になることもあります。

    迅速血液検査・腹部エコーなどが役立ちます。

  • 腸閉塞症(イレウス)

    頻度:★★


    腸管の内容物の通過が障害された状態を腸閉塞症といい、通過障害により、吐き気や嘔吐、腹部膨満感を認め、排便や放屁が停止します。
    血行障害を有する症例は適切に診断・治療を行わないと消化管穿孔や腹膜炎をきたし重症化することがあるため早期に受診することが重要です。

    血液検査・腹部エコー・腹部X線検査などが役立ちます。

  • 過敏性腸症候群

    頻度:★★★★


    各種検査で異常が認められず、腸の機能異常が原因と考えられています。慢性的(3か月以上)、反復性に下痢や便秘などの便通異常を伴う腹痛をきたし、ストレスで増悪することがあります。
    排便で腹痛が軽減する点が特徴的です。

  • 消化性潰瘍

    頻度:★★★


    消化性潰瘍は、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の総称です。
    胃潰瘍では食後に、十二指腸潰瘍では空腹時にみぞおちの痛みを自覚する傾向にあるといわれますが、食事との関連が不明瞭なこともあります。
    消化性潰瘍の成因として、胃内に生息しているピロリ菌が重要視され、潰瘍を再発するケースでは積極的に除菌療法が行われます。また、解熱鎮痛薬の中には消化性潰瘍を誘発するものがある点にも注意が必要です。

    上部消化管内視鏡検査(胃内視鏡検査)・ピロリ菌検査が役立ちます。

  • 胆石発作

    頻度:★★★


    成人の10人に1人は胆石保有者と言われています。健康診断などにおける腹部超音波検査で胆石の存在を指摘された方が、みぞおちから右側腹部に腹痛を認める場合は胆石発作の可能性があります。
    典型例では、油ものを摂取して数時間以内に冷や汗を伴う強い激痛を自覚するなどがあります。

    血液検査・腹部エコーが役立ちます。

  • 膵炎

    頻度:


    腹痛を訴えて病院受診したケースの約5%が急性膵炎と言われています。飲酒が契機となり発症することが多く、胆石が原因になることもあります。上腹部の激痛に嘔気・嘔吐、背部痛を高頻度に伴います。
    重症化した場合に致命率が高いため、早急に適切な処置を要します。

    血液検査・腹部エコーなどが役立ちます。

  • 尿管結石

    頻度:★★★


    腎臓から尿を排出するまでの尿路のどこかにできた結石が尿路結石です。尿路結石ができて尿の通り道がふさがれると、激しい痛みと時に血尿が見られます。
    背中から脇腹にかけての激しい痛みが特徴です。
    冷や汗やおう吐症状が出る場合もあります。日本では、30~50代の男性に多く、男性の患者数は女性の2~3倍です。

    腹部X線検査・腹部エコーなどが役立ちます。

血便BLOODY STOOL

原則内視鏡検査が必要です。

血を吐いた、黒い便が出た時

胃内視鏡検査が必要になります。以下が代表的な病気です。

  • 消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)

    頻度:★★★★


    胃潰瘍と十二指腸潰瘍の総称です。胃潰瘍では食後に、十二指腸潰瘍では空腹時にみぞおちの痛みを自覚する傾向にあるといわれますが、食事との関連が不明瞭なこともあります。
    消化性潰瘍の成因として、胃内に生息しているピロリ菌が重要視され、潰瘍を再発するケースでは積極的に除菌療法が行われます。
    また、解熱鎮痛薬の中には消化性潰瘍を誘発するものがある点にも注意を要します。内視鏡時に出血している場合は直ちに入院治療が必要です。

  • マロリーワイス症候群

    頻度:★★★


    初回の嘔吐後より、複数回嘔吐を繰り返した後に食道と胃のつながる部位周辺の粘膜が裂けてしまい突然吐血症状が起こりますが、腹痛はないことが多いです。薬でよくなるケースがほとんどです。

  • 食道・胃静脈瘤破裂

    頻度:


    以前より肝臓が悪い人(肝硬変)・多量に酒を飲む人が血を吐いた時は、食道・胃静脈瘤の破裂が考えられます。
    緊急性の高い状態で、早急に適切な処置が必要なため、直ちに入院が必要です。

  • 胃がん

    頻度:★★★


    胃がんから出血すること場合がありますが、ジワジワしか出血しないことが多いです。
    最近フラフラするようになった、階段や坂を上るのがしんどくなったなどの貧血症状や、食欲がなくなったなどの症状がある方はぜひ胃内視鏡検査をうけてください。
    また、胃がんはピロリ菌が原因です。早期に発見すれば治ることが期待できます。その場合、直ちに入院治療が必要です。

赤い血便が出た時

大腸内視鏡検査が必要になります。以下が大腸内視鏡検査で診断できる代表的な病気です。

  • 大腸がん

    頻度:★★★


    健康診断で便潜血反応陽性または血便が続いている人は大腸がんの可能性があります。早期に発見すれば治ることが期待できます。ぜひ大腸内視鏡検査を受けてください。

  • 大腸憩室出血

    頻度:★★★


    腹痛を伴うことなく突然に鮮やかな出血あるいは赤黒い出血を多量に認めた場合には、憩室出血の可能性を疑います。
    とくに、高齢者で解熱鎮痛薬や抗血栓剤を投与されている場合には強く疑う必要があります。
    憩室からの出血が起こった場合には、どの憩室から出血しているかを同定することは困難な場合が多く、さらに憩室出血の4分の3は自然止血するため、実際に内視鏡で観察した場合には既に止血している場合も少なくありません。
    しかし、一方で約4割が再出血すると言われており、出血量が多く輸血を必要とする場合もあります。
    特に、血液をサラサラにする作用のある抗血小板薬あるいは抗凝固薬を内服中の場合は自然止血後も再出血する危険があるため注意が必要です。出血が続いていれば直ちに入院加療が必要です。

  • 虚血性腸炎

    頻度:★★★★


    虚血性大腸炎は、大腸の末梢血管の虚血によりびらん、潰瘍などが起る疾患で、特徴は、突然発症する下腹部痛の後に鮮血便や鮮血を混じた下痢が発生します。
    原因としては、動脈硬化性の変化と便秘、腸蠕動亢進などの機械的要因が関与しているとされています。高齢化社会となってきたことで頻度の高い疾患となっていますが、若年者でも起こることがあります。
    当院では、まずはエコーを行い診断し、重症例以外は後日大腸内視鏡検査をお勧めしています。

  • 感染性腸炎

    頻度:★★★★★


    血便をきたす感染性腸炎はほとんどが細菌性腸炎であり、血便の頻度が高いのは腸管出血性大腸菌腸炎とカンピロバクター腸炎です。まずは、便培養・エコ―検査で診断しましょう。

  • 炎症性腸疾患

    頻度:★★


    若い方に多い病気で、有病率は急激に増加しております。消化管に炎症、潰瘍を生じ、出血、下痢、体重減少、発熱などの症状をおこす疾患の総称で、一般には、潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患のことを指します。
    特定には大腸内視鏡検査が必要です。

  • 頻度:★★★★★


    赤い血であれば、肛門近くからの出血です。その量がある程度多い場合には内痔核の出血を考えます。また痛みを伴い、量が少なく紙に付く程度であれば、裂肛の出血が疑われます。しかし痔核や裂肛から出た血液が逆流して直腸にたまり、赤黒い血が出ることもあります。
    痔の出血だと思っていても、大腸癌などが潜んでいることもあります。大腸検査を受けましょう。

肝機能障害LIVER DYSFUNCTION

エコー検査・血液検査が必要です。

肝臓由来

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、なかなか自覚症状が出ない場合が多いです。
血液検査・エコー検査は定期的に行いましょう。

  • 肝炎ウィルス

    頻度:★★★


    ウイルス性肝炎とは、肝臓がウイルスに感染することで炎症が起こる疾患です。肝炎ウイルスは主に4種類(A、B、C、E型)存在し、それぞれ特徴が異なります。いずれもウイルス感染による自己免疫反応によって肝臓の細胞が障害されます。
    特にB型C型肝炎は進展すると肝硬変や肝がんに進展していきます。治療薬の進歩が著しく、肝硬変や肝がんになる前に治療を受けましょう。

  • アルコール

    頻度:★★★★


    アルコール性肝障害はアルコールを常習的に飲んでいる人に発症する疾患です。日頃から飲酒量の多い人は、外見は痩せていても、肝臓に脂肪が蓄積され炎症を起こすことがあります。
    これらの患者が大量飲酒後には、重症のアルコール性肝障害を発症し、命に関わる重篤な状態になることがあります。
    また、治療せず放置すると、肝硬変や肝がんに進展していく場合もあります。

  • 非アルコール性脂肪肝炎

    頻度:★★★★


    非アルコール性脂肪肝炎は、ほとんど飲酒をしていないにも関わらず、アルコール性肝障害に似た、肝臓へ脂肪が蓄積し炎症が起こる病態です。
    肥満や糖尿病などの生活習慣病を合併する頻度が高く、治療しない場合には、肝硬変や肝がんなど、さらに重い疾患に進展していく場合もあります。

  • 自己免疫性肝炎

    頻度:


    自己免疫性肝炎とは何らかの原因により、自らの肝細胞を自分の体内の免疫が破壊してしまう自己免疫疾患です。明確な原因は不明です。多くは中年女性にみられ、他の自己免疫性疾患を合併することもあります。

  • 原発性胆汁性胆管炎

    頻度:


    原発性胆汁性胆管炎とは、自らの胆管細胞を自分の体内の免疫が破壊してしまう自己免疫疾患で、肝臓内の「胆管」と呼ばれる部分に炎症が起きます。
    これにより、肝臓内に胆汁がうっ滞することによってかゆみなどの症状が現れます。中年女性にみられることが多く、甲状腺疾患など他の自己免疫疾患を合併することも多いと言われています。

  • 薬剤性

    頻度:★★★★


    薬物性肝障害とは、医療機関で処方されたお薬やドラッグストアで購入できるお薬、サプリメントなどが原因となり起こる肝臓の炎症です。

  • 甲状腺疾患

    頻度:★★★


    甲状腺ホルモンの肝細胞毒性(肝細胞の異常な代謝亢進)により、肝酵素の上昇が見られます(約20%)。原因の判らない肝障害は、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、あるいは、甲状腺機能低下症の可能性があります。

胆道由来

胆道・膵疾患の経験は豊富です。何より迅速な対応が必要です。膵臓がん・胆道がんは予後の悪いがんです。血液検査・エコー検査は定期的に行いましょう。

特に、腫瘍や結石が原因で胆管が詰まってしまい胆汁が流れられなくなると、肝機能障害が現れます。これを閉塞性黄疸と呼びます。
黄疸とは皮膚や目の白目が黄色くなりますが、最もわかりやすいのは尿が濃くなることだと思います。以下の病気は閉塞性黄疸をきたす病気です。

  • 胆管結石

    頻度:★★★


    発熱・腹痛・黄疸の症状を認めます。たかが石ですが、ショックになったり急性膵炎を合併すると短時間に病状が悪化するため、早急な治療が必要です。

  • 膵臓がん

    頻度:★★


    最も予後の悪い悪性腫瘍です。
    すい臓の中を胆管は走行しており、膵頭部あるいは膵体部の腫瘍が大きくなることで胆管がつまってしまいます。
    外科治療や抗がん剤治療も進歩していますが、黄疸・腹痛・背部痛などの症状が出る前に早期発見ができれば手術が可能になり救える命もでてきます。糖尿病や膵炎の方は要注意です。

  • 胆管がん・胆のうがん

    頻度:★★


    膵臓がんに次いで予後の悪い悪性腫瘍です。胆管がつまることで黄疸がでます。また、膵管胆管合流異常などの奇形が原因になることがあります。早期発見をして手術を行えば治ることも可能です。

便秘CONSTIPATION

  • 大腸がん

    頻度:★★★


    体重減少・血便・便狭小化を伴えば、大腸内視鏡検査を受けてください。

  • 過敏性腸症候群

    頻度:★★★★


    下痢と便秘を繰り返します。腹部膨満感、排便で改善する腹痛です。命にかかわることはありませんが、日常生活に使用をきたす方は投薬を、または炎症性腸疾患などを除外するためには大腸内視鏡検査お勧めすることもあります。

  • 薬剤性

    頻度:★★★


    特に精神科・心療内科に通院中の方は要注意です。

  • 機能性

    頻度:★★★★★


    腸の動きが悪くなったり、ストレスなどにより生じます。水分の摂取、繊維食などの食事指導や投薬が必要です。大腸癌などを除外するために大腸内視鏡検査が必要なこともあります。

下痢DIARRHEA

まずは急性の下痢か慢性の下痢(3週間以上)かを確かめましょう。
急性下痢ならまず感染を、慢性下痢+血便なら炎症性腸疾患を受診ください。

急性下痢

  • ウィルス性胃腸炎

    頻度:★★★★★


    代表的はノロウィルス・ロタウィルスによる感染。特効薬はなく、水分摂取できなければ点滴を行うことがあります。ほとんどが2~5日で治ります。

  • 細菌性腸炎

    頻度:★★★★


    代表的な原因はカンピロバクター・病原性大腸菌・サルモネラ菌などへの感染です。
    抗菌薬を投与することがあります。

    疾患ごとの症状の程度
    ウィルス性胃腸炎(小腸型) 細菌性腸炎(大腸型)
    腹痛 軽い 強い
    吐き気 あり 少ない
    血便 なし あり
    発熱 あり あり
    食物ごとの感染源
    原因食品 潜伏期間
    ロタウィルス 飲料水、食物 1~3日
    ノロウィルス カキなどの二枚貝 1~2日
    カンピロバクター 生鶏肉、牛生レバー 2~5日
    病原性大腸菌 原因特定困難 12~72時間
    腸炎ビブリオ 生の魚介類 10~24時間
    サルモネラ 卵、加熱不十分な食肉 8~48時間
  • 薬剤性

    頻度:★★★


    抗生物質などの薬剤で下痢が起こることがあります。特に抗菌薬による偽膜性腸炎は発熱・血便を伴い重症化することがあります。

慢性下痢(3週間以上つづくもの)

  • 過敏性腸症候群

    頻度:★★★★


    下痢と便秘を繰り返す。腹部膨満感、排便で改善する腹痛です。命にかかわることはありませんが、日常生活に使用をきたす方は投薬を、または炎症性腸疾患などを除外するためには大腸内視鏡検査お勧めすることもあります。

  • 炎症性腸疾患

    頻度:★★


    若い方に多い病気です。消化管に炎症、潰瘍を生じ、出血、下痢、体重減少、発熱などの症状をおこす疾患の総称で、一般には、潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患をいいます。有病率は急激に増加しております。大腸内視鏡検査が必要です。

胸やけ・つかえ感HEARTBURN

胸やけ・つかえ感はストレス・腫瘍・炎症などが原因で発生します。

  • 逆流性食道炎

    頻度:★★★★★


    胃液が食道に逆流してくることにより胸焼け・つかえ感・胸痛・咳などを訴えます。まずは生活習慣を改善し一度胃内視鏡検査を受けてください。逆流性食道炎と診断すれば程度により投薬を検討します。
    暴飲暴食は控え腹八分を基本とし、脂っこいもの・甘いもの・すっぱいもの・刺激物(アルコール)は控えましょう。前かがみの姿勢やおなかの締めすぎないように注意してください。

  • 食道がん

    頻度:★★


    お酒とタバコは食道がんの危険因子です。食道がんは胃がんや大腸がんに比べ治りにくいがんです。お酒とたばこが好きな方は一度内視鏡検査を受けてください。
    早期発見すれば内視鏡を使った体に負担の少ない治療を受けることができます。症状がなくても、お酒とたばこが好きな方は毎年胃内視鏡検査を受けてください。
    当院では食道がんの早期発見に優れたNBIシステム(偏光内視鏡)を使用しています。

  • ストレス

    頻度:★★★★★


    ストレスが原因で喉のつかえ感を訴える方が非常に多いです。まずは、食道やのどに病気のないことを確認することが大事です。

  • 耳鼻科疾患(咽頭炎・扁桃炎・咽頭がんなど)

    頻度:★★★★★


    咽頭がんは、食道がんと同様でお酒・たばこが好きな方がかかりやすい病気です。勿論耳鼻科医が専門ですが、咽頭がんの早期発見にも優れたNBIシステム(偏光内視鏡)を使用していますのでご相談ください。